在日インターネット
 Webサイトの可能性

インターネットの普及により社会そのものの形の変化が波紋を広げる中、第2の世界、その国境線の無い情報の海の中、まるで自ら水を得た魚のようにスイスイと泳ぐ在日ウェブサイトの数々。日々新しいサイトが生まれ、それとともにまた新たな出会いと関係が生まれる。その未来に秘めた未知なる可能性を新鮮な視点で探ってみる。


4人のサイト発信者による座談

在日レボリューション21 フューチャリングinternet!

朴 亨 柱 パクヒョジュ(27)CLUB-K
e-mail:hyong@yahoo.co.jp
HP:http://www.club-k.ne.jp
http://www.yakinikutengoku.com
チャットサイト『club-k』、コリアン焼肉紹介サイト『焼肉天国.com』の立ち上げ人かつ管理者。

「 60万といわれる在日同胞のスケールメリットを活かしたらどんなことができるだろうという疑問から二つのサイトをはじめました。今後もいろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。」
高 宏 明 コウグェンミョン(28)焼肉天国.com
e-mail: keimy@hotmail.com
HP:http://www.yakinikutengoku.com
焼肉天国.com』で宣伝、営業を担当。

「 焼肉天国.comは在日コリアンが経営する本場の焼肉屋さんを特典付で紹介するサイト。多彩な焼肉屋さんを地域別、予算別、「裏メニュー」別で検索できます。その他にも、家庭料理のレシピや求人情報、焼肉に関するコラムやメルマガなどのお得な情報が満載。焼肉天国.comを見ることなく焼肉を語ることなかれ!」
姜 芸 真 カンイェジン(26)在日韓国青年会公式サイト
e-mail: yejin@seinenkai.org
HP:http://seinenkai.org
在日本大韓民国青年会中央本部で総務・宣伝活動中。『在日韓国青年会公式サイト』。

「 18歳〜30歳までの在日韓国人青年を対象とした青年会の活動を紹介しています。その他在日韓国人青年に役立つ就職・ブライダル情報や、在日の歴史に関する情報、地方参政権についてなど、学習面も充実!!スレッド式掲示板、【SEINENKAI BOARD】では日夜在日関連の熱い書き込みがなされています!」
全 大 喜 チョンテヒ(22)ch@eil.net
e-mail:tehi@chaeil.net
HP:http://www.chaeil.net
チェイル.ネット編集者・製作チームの一人。『ch@eil.net』は、本格在日ポータルサイト。

「 在日関連のニュースや記事、TVドキュメンタリーや芸能、スポーツ、etc。毎日どこかで発信される情報を自分で全部チェックするのは不可能。後から聞いて悔しい思いはもうしない!
 このサイトでは在日関連の情報を毎日集めて毎日更新してます。
 ここへのアクセスで旬な情報を総チェック!!」

----在日関連のサイトを見て回ってどう思います?


朴 在日のインターネットと言うよりも、一般論としてインターネットの黎明期は情報の提示が主だったよね。
 ここ最近になって個人サイトが増えだし、在日関連サイトが云々と言うよりも、ただ管理人が在日だと言うケースが多い。一般的なサイトと何が違うの?って何も違わない。

姜 そうそう。リアルな社会とバーチャルな社会があってインターネットを使った一つの社会があるイメージのはずなんだけど、在日社会って言うのはやっぱそこまで行ってなくて、どっちかっていうと個人のためのサイトがポコポコ出てきている。

全 個人サイトを持てると考えていない時代は、組織のオフィシャルサイト的なものばっかり。既に先入見?がついてる組織のサイトを見て、自分がリアルにその組織に参加しようとは思わないんじゃないかな。
 つまり、在日インターネット社会にはポータルがないじゃないかと。リアルな社会では悲しいかな分断されてますけど、バーチャルの世界でも、今のところリアルなつながりを引きずってて「統一」はされてない。
リアル社会では人生の先輩方がドンと腰を据えてがんばってくれているんで…バーチャルな世界は僕たち若者だろってね(笑)


----在日社会にインターネットはどんな影響を与えるんでしょうか?

高 やっぱ、メディアとしてのインターネットの可能性は大きいよね。
 インターネットを使えば北海道にいる同胞と沖縄にいる同胞がチャットを通じて話ができたりだとか、オモニになりたての人同士が、子どもの名前どうする?学校どうする?と相談できたりだとか。
 地方に行けば行く程、在日同胞は点在してて、大都市とは違って、同胞がいつでも会えてお茶を飲みに行く距離にいないという現状があるのを考えると、インターネットさえ使えば日本全国、世界中の人と話ができる。大きな社会問題は解決できないにしても、そこを通して小さな問題は解決していける。友達がいないとか、旅行に行くけどどうすればいいとかね。僕たちの生活でそんな大きな問題ばかり抱えてるわけじゃないですからね。
 そのほうが早いし、楽だしカジュアルだよ。

高 在日のネットワークってもともとオフラインのものでしょ。だけど、オンラインで同胞がつながればマイノリティであっても結構面白いことができるんじゃないかな?

朴 人が集まれば力になるっていうのは今までの運動見てたら分かることだよね。今までは、かなり積極的に自分の時間を割いて動かないと日本中に同胞の知り合いなんかできなかったけど、そんな人は少数派の中の少数派ですよね。
 みんな散らばって暮らしてるんだったら、じゃあ、それをつなぐ方法ってことでインターネットが使えるんだよね。支部があって地域のネットワークがあるとしても、じゃあ他の地域とつながってるとは限らない。
 でも、実際club-kの中で子持ちのオモニ同士が九州と北海道でチャットやってるのをみて「これなんだよね!」って。


----在日でインターネットしてる人って…

朴 昔に比べてウェブサイトの利用法が一方的に情報を受け取るだけでなくマルチ方向のやりとりが実現しだしている。その使い方が変わってきたことに対して何がされうるべきか? 今ようやくいろんなサイトで試みはじめている。
 じゃあ、同胞社会の場合はどうか?
残念ながら日本社会の3年前と同じぐらいじゃないかな? 同胞社会の場合ウェブサイトがどうのと言うよりユーザー自体が少ないよね。

高 ユーザーの意識がどう変わるかもとても関心がある。どのような箱(サイト)を用意してあっても、それを使うユーザーがどれだけ使いこなせるか。遅れていると言われる日本のネット環境の中で、ユーザーがどのように動き、それに対してどのような箱が提供されていくのか?

姜 昔、青年会のメーリングリストを作ったんだけどその当時、メーリングリストの使い方を理解している人が少なくて全く機能しなかった経験があるの。そのころと比べたら今はかなり機能してるから大進歩!

全 僕がはじめてPCをさわったのが98年でですね、最初に何やったかってYahoo!で「在日」っていれて検索したんです。単純に周りに在日いなかったんで、家族や親戚以外の在日が何考えてるか知りたいな〜って。その時点で検索で見つかったサイトはそんなに無かったと思いますよ。で数少ないながらパ〜っとみたんですよ。
 それでも、いろんな情報がつまってましたよ。も〜、読むの面倒くさいくらい。で、思ったのが、「つまんないな」でした。(笑)
 これって、すごい不真面目な感想ですけど、これが、一般的な若い世代の素の感想じゃないかと思うんです。わざわざ検索エンジンで「在日」って入れて検索かけるだけでも奇特な人材なのに、それでもこの程度の感想です。で、だったら自分の「あったらいいな」を自分でつくっちゃえ!と。

朴 まさに同じ!
 ユーザーが楽しめるサイト。自分にとってポータルっていうのはそういうこと。在日同胞にとって楽しめて役に立つ情報って言ったら出会い、旅行、不動産、就職。

全 ch@eil.netの中でもですね、どのコンテンツに関心を持ってるのかクリックした回数でデータが出るんです。やっぱ結婚情報とかのコンテンツはやっぱ人気ありますね。

姜 青年会のHPもやっぱリクルートとブライダルですね。

朴 人間やっぱり、サイトに行くのは面白いか面白くないかじゃないですか。だからみんなの関心のあるコンテンツが強化されればもっと在日が便利になるよね。


----どういうところで影響力をもちえるか?

姜 既存の組織のオフィシャルのサイトにしかできないこともあるけども、民団、総聯と別れている中でclub-kやch@eil.netのようなそういった概念に全くとらわれないスタンスの取り方はこれからの世代に対して、別の可能性を感じるんだよね。

朴 イメージが既についてしまっている既存の団体への呼びかけに、及び腰の人に対しても、インターネットでは、自分でネットにつなげなければならないというワンクッションが入ることによって、リアルな場(オフ会)への参加の壁が低くなる。本当に嫌なら最初からサイトにつながないですからね。
 割合としては、まだまだ、そういう場に出てみたい、触れてみたいと言う人は多い。積極的ではない人でも、そういう気持ちを持ってる人へのきっかけになりえる。

全 リアルな世界で既存組織が弱い若い世代をターゲットにできる。ちょうど、その世代がネット世代ですしね。ただ、在日関連のサイト見てて思うのがリアルな社会をバーチャルな世界にも持ち込んでいること。「あ〜、ここは何々系のネットワークがバックボーンとしてあって、そこにいる人達がこのサイトに集まってるんだな」って感じてしまったらもう他の人が入れないと思うんですよね。


----オン=バーチャルからオフ=リアルへ移行するのは困難では?

朴 インターネットは既存の組織ではフォローしきれてない部分をカバーし得るものだと思う。いろんな人がいろんな話をする場が今まであったのか?
 だけど、あくまでもインターネットはツールであり、その先にはリアルな関係を想定したいよね。オンからオフへの移行ってそんなに難しいことじゃないんじゃないかな。人間、ネット上でたくさん話してたら、その人に会いたいって思うもんなんだよね。

全 結局、今日これまで面識のなかった僕達が、「在日」「インターネット」という共通の要素で初めて会って話をすること自体がすごいことですよね!


 2001年10月8日 東京

 

(2000)

 金明秀氏は語る 


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