市民的自由、人権、民主主義が実現される統一を目指して
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ワンコリアフェスティバルは、本年1月5日付けをもって「財団法人ワンコリアフェスティバル」として法的な登記が完了し、新たな出発をすることになった。長引く不況の中で、財政基盤を安定させ、さらなる発展を期すためである。
ワンコリアフェスティバルは、1985年、民族統一の新たな未来のビジョンを創造しょうとの想いから始まった。
韓国民団、朝鮮総連との対立、若い世代の民族意識の「風化」と日本への「帰化」の急増など、在日コリアンの問題を解決し、統一への新たな展望を切り開くためには、発想の転換と新たな理念とビジョンが必要であった。
それがなぜフェスティバル(お祭り)なのかといえば、ビジョン創造への第一歩は、幾重にも分裂している在日コリアンの現実を、韓国民団、朝鮮総連はもちろん、若い世代の民族意識の「風化」や「同化」も含めて在日コリアンの「多様性」として認め合い、まずは出会い、歌や踊りを楽しみながら、統一について多様な立場の人々が自由に対話と議論をする雰囲気を作ることから始めようと考えたからである。そのため同じ同胞という一点で集まれるようにするため、多様な立場に対して、あえて批判や反対をなるべくしないようにしてきた。
とはいえ、南北分断から来る冷戦思考が強く、自己の立場や理念、イデオロギーだけが「正義」であり、その立場や理念、イデオロギーの違いから反目してきた在日コリアンにとって、多様性を認め合うことは容易ではなかった。しかも在日コリアンは、もはや民族や国民(国籍)で一括りにはできない存在である。
ここにおいて、公共的な事柄に関して、多様な立場の人々が、自由な対話と議論を通して合意や解決を導こうとする市民社会のルールが重要になる。いまや実に多様な価値観をもつにいたった在日コリアンは、自由な対話と議論を通して、すべてのコリアンにとってより良い開かれた民族共同体としての統一を追求すべきでると考えるに至った。であるなら、統一も、市民的自由や人権、民主主義など人類の普遍的な価値観が実現される統一を目指すべきであることは言うまでもない。
一方、1989年のベルリンの壁崩壊以後、ドイツ統一、東欧社会主義圏、ソ連邦の崩壊と続く戦後冷戦体制の急激な変化は、世界に大きな衝撃をもたらした。しかし、それらの激動も、注意深く見れば、底流において、やはり市民的自由や人権、民主主義を求める動きであった。
と同時に、ヨーロッパのEC統合やアメリカを中心とした北米経済圏など、国境を越えた地域統合や地域経済圏の形成にも注目し、アジア共同体の可能性を真剣に考えるようになった。
財団法人ワンコリアフェスティバルは、以上の理念とビジョンにもとづいて、今後いっそう市民社会の条件と可能性を追求し、運動の理論と実践をさらに豊かなものにしていけるよう活動を展開していくものである。
この場を借りて、多くの方の関心と支援をお願いしたい。
代表理事 鄭甲寿 |
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