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2001.11/大阪:生野コリアタウン、.12/東京:スペースY文化センター)

「ワンコリアフェスティバル2001開催に際して」
 ワンコリアフェスティバル実行委員会 実行委員長 鄭甲寿

 まずはじめに、これまで支えて下さった多くの方のご賛同、ご支援に対し心より感謝申し上げます。

 1985年の解放40周年を機に統一への歴史の新たな展望を切り開こうと始められたワンコリアフェスティバルにとって、南北首脳会談が開かれ、南北共同宣言が発表された昨年は、格別に意義深い年でありました。とくに、会談に先立つ6月11日に緊急開催した「南北首脳会談歓迎!ワンコリアフェスティバルin東京」は、日本と韓国のほとんどのテレビ局が取材、放送するなど、大変な注目を集めました。その会場で発表した「東京声明」においては、7項目の要望と提案を明らかにしましたが、それも南北共同宣言の内容を先取りしていたといえるでしょう。それは、祖国に先駆けて在日コリアンこそハナ(ひとつ)になろうと訴えてきた当フェスティバルのビジョンの実践に向けた、一つの努力の表れでもありました。

 そのビジョンとは、在日コリアンこそがまずハナ(ひとつ)になってワンコリアのシンボルになり、祖国南北、海外同胞のパイプ役としてワンコリアの実現に貢献するとともに、究極においては世界市民に連なる「アジア市民」創出のための「アジア共同体」を展望するというものであります。

 そのため当フェスティバルは、様々な「南北共演」の実現に努めてまいりましたが、90年代に入ってからは「ワンコリア囲碁大会」や「ワンコリア花見大会」というように、「ワンコリア」を冠して民団・総連合同の行事ももたれるようになりました。それが昨年の首脳会談後は一気に活発になっています。祖国では南北の対話と交流が大きく進展しているといえない状況ですが、在日コリアン同士では現在も各地で「ワンコリア」や「ハナ」を冠する催しや行事が目白押しに展開されています。いまや「ワンコリア」と「ハナ」は、在日コリアン同士の和解と交流、協力と統一の文字通りシンボルとなったといえるでしょう。このことは、まさに当フェスティバルのビジョンがいよいよ現実になってきたことを物語っているでしょう。

 また、当フェスティバルは「ニューヨーク・ワンコリアフェスティバル」開催や「韓国議政府市・ワンコリアフェスティバル」との交流など、海外・祖国同胞との連携と交流も深めてきました。グローバル化の進む国際社会において、文字通りグローバルな存在である550万人以上の豊かな多様性を持つ海外同胞の役割は、今後益々重要になるでしょう。いまや統一とは、海外同胞を含む「多文化民族共同体」の形成を孕むものといえるでしょう。

 一方、当フェスティバルのビジョンのもう一つの柱である「アジア共同体」構想も、一段と現実的になってきました。韓国と日本の間で自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議が進行中であり、日本とシンガポールはすでにFTAを結び、ついには先日、中国とASEAN(東南アジア諸国連合)との間で、今後10年以内のFTA締結に向けた協議が始まりました。FTAが地域統合の動きであることはいうまでもありません。さらに、韓・日・中当局者間で「アジア共通通貨」の研究も公式に始まっています。これに関連して今後5年から10年の間には、東アジアにおいて中国が突出した存在になる可能性が高いでしょう。この地域の安全保障と発展のためにこうした研究をはじめ、さらに韓・日・中の連携と協調が求められます。そのためにも日本には、過去の清算に基づくアジア諸国との信頼関係の確立、とくにコリア南北とのそれが求められるでしょう。そうしてこそ、21世紀のはじめにも「アジア共同体」が構想から現実として浮上してくるでしょう。

 そこで改めて当フェスティバルが目指す「アジア共同体」についてふれるならば、それは単なる経済統合ではなく、域内の経済格差の縮小から解消、環境問題や安全保障における協調、そして何より市民的権利と自由の普遍的実現、すなわち「アジア市民」の創出を目指すものであります。いいかえれば、「アジア市民」こそ、「アジア共同体」の理念にほかなりません。

 それは同時に、グローバル(国境を超える統合)、リベラル(民主主義)、ヒューマニズム(人権尊重)を求める世界の進む方向と軌を一にするものでありますが、逆にいえば、そのような理念の伴わない経済のみのグローバル化は、経済格差を広げ、民主主義と人権を脅かす深刻な問題を引き起こすでしょう。あの世界を震撼させた「同時多発テロ」もその現れではないでしょうか。そうしたテロが報復戦争によって根絶できるでしょうか。今、まさに「アジア市民」的な理念が求められているといえるでしょう。

 ところで、「アジア共同体」実現のためには次のことが不可欠であることを、私たちは常に強調してきました。すなわち、私たちコリアは、自己統治能力を発揮して分断と対立を克服すること。日本は「脱亜入欧」的なアジア観を克服し、自浄能力を発揮して過去の明確な清算をすること、この二つであります。

 その意味で、南北共同宣言の発表は、現在南北間の対話が停滞気味とはいえ、分断と対立を克服する新たな過程の始まりであり、東アジアの新たな秩序構築の展望を開くものといえるでしょう。何より、統一問題の「自主的」解決を謳った南北共同宣言の第一項は、自己統治能力を証明する方向を明確に示した画期的な合意であります。

 他方、日本に関しましては、小泉首相による「靖国神社参拝」や「教科書問題」などの動きに関して懸念を表さざるをえませんが、先に触れましたように一日も早く明確な過去の清算を行い、アジアとの信頼関係を確固たるものにすべきであります。また、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化も速やかに実現すべきであります。

 当フェスティバルは、ワンコリアのビジョンと「ハナ」「ワンコリア」のイメージを拡げるために努めてまいりましたが、今回も21世紀のワンコリアとアジア共同体の実現に向けて「ハナ」を高らかに謳い、ワンコリアをアジアの平和と発展を、国際社会に力強くアピールします。

 皆さん、ともにワンコリア、ワンアジアの未来を切り開いていきましょう。  ハナ!


 
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