( 2000.12 第十六回 /東京: 大阪:大阪国際交流センター)
ワンコリアフェスティバル2000開催に際して
ワンコリアフェスティバル実行委員会 実行委員長 鄭甲寿
1985年の解放40周年を機に、統一への歴史の新たな展望を切り開こうと始められたワンコリアフェスティバルにとって、南北首脳会談が成功し、南北共同宣言が発表された本年は、格別に意義深い年となりました。
当フェスティバルは、会談に先立つ6月11日に「南北首脳会談歓迎!ワンコリアフェスティバル in 東京」を緊急に開催、会談の成功を求める声明を発表し、6月15日には「南北共同宣言支持!
ワンコリアフェスティバル in 生野コリアタウン」をもちました。
さらに、8月10日には「解放55周年ワンコリアフェスティバル」を開催し、東大阪朝鮮中級学校と建国小学校が南北離散家族再会を祝福する歌「愛しき国 大河のように」(この日のために創作されました)を合唱しました。恒例の秋の催しとしては11月5日、「ワンコリアフェスティバル in 生野コリアタウン」を御幸通商店街一帯で盛大に開催しました。
そして、今回の20世紀最後のワンコリアフェスティバルである「ワンコリアフェスティバル2000」開催に至りました。
15年間支えて下さった多くの方々のご賛同、ご協力に対し、ここに改めて感謝申し上げます。 当フェスティバルは、在日コリアンこそがまずハナ(ひとつ)となってワンコリアのシンボルになり、祖国南北、海外同胞間のパイプ役としてワンコリアの実現に貢献するとともに、究極において世界市民に連なる「アジア市民」創出のための「アジア共同体」を展望するという、まったく新しいビジョンを掲げ、その実現を目指してきました。
そのため、当フェスティバルは、祖国南北の共演、総連系、民団系の共演など、さまざまな「南北共演」の実現に努めてまいりました。90年代に入ってからは、当フェスティバルの他にも「ワンコリア」を冠して「ワンコリア囲碁大会」や「ワンコリア花見大会」というように、民団・総連合同の行事も持たれるようになり、在日コリアン同士の和解と交流の動きも徐々に見られるようになつていましたが、首脳会談後は一気に活発になっています。現在、各地で「ワンコリア」や「ハナ」を冠する催しや行事が目白押しに展開されています。いまや「ワンコリア」は、在日コリアン同士の和解と交流、協力と統一の文字通りシンボルとなったといえるでしょう。
関連するマスコミ報道においても「ワンコリア」という言葉がどの新聞の見出しにもおどっていました。「ワンコリア」「在日コリアン」「ハナ」といった当フェスティバルが一貫して用いてきた表現が大きく広がり、定着して、マスコミにおいても完全に市民権を得ました。まさに、当フェスティバルが主張し続けてきたビジョンがいよいよ現実になってきました。それはもはや実証の段階に入ったといえるでしょう。
たとえば、首脳会談後、「ワンコリア統一行進」をした兵庫や来たる12月31日〜2001年1月1日にかけての「ワンコリアカウントダウン21」を準備している京都においては、それぞれの主催者である総連、民団が、在日コリアンの年金問題や民族教育助成に関し合同で行政に申し入れを行いました。こうした動きは今後一層活発になり、在日コリアンの地位向上と権利獲得に大きな力を発揮することでしょう。
また、当フェスティバルは「ニューヨーク・ワンコリアフェスティバル」開催や同年から始まった「韓国議政府市・ワンコリアフェスティバル」との交流など、海外・祖国同胞との連携と交流も深めてきました。グローバル化の進む国際社会において文字通りグローバルな存在である550万人以上の豊かな多様性を持つ海外同胞の役割は、今後益々重要になるでしょう。今や統一とは、海外同胞を含む「多文化民族共同体」の形成を孕むものと言えるでしょう。
一方、当フェスティバルのビジョンのもう一つの柱である「アジア共同体」構想も、一段と現実的になってきました。去11月24日〜26日、シンガポールで開かれた「アセアン(10カ国)プラス3(韓・日・中)会議」において、金大中韓国大統領が提案した「東アジア協議体」を、今後目指すべき方向として協議することで合意したことは、記憶に新しいところであります。21世紀のはじめには、構想から現実として浮上してくる可能性が高いといえるでしょう。
そこで改めて当フェスティバルが目指す「アジア共同体」についてふれたいと思います。1989年、当フェスティバルの趣旨文において、緊張緩和と平和共存のモデルとしてEC(ヨーロッパ共同体)にはじめて言及し、翌90年に「アジア共同体」という言葉をはじめて使い、以後、当フェスティバルが目指すべき未来像として明確にしてきました。そして1993年には、アジア共同体の理念として「アジア市民」の創出という理想を掲げ、アジア共同体がたんなる経済的統合ではなく、アジアにおける市民的権利と自由の普遍的実現を目指すものであることを明記しました。
それは同時に、グローバル(国境を越える統合)、リベラル(民主主義)、ヒューマニズム(人権尊重)を求める世界の進む方向と軌を一にするものでもありましょう。インターネットの急速な進歩と普及が、こうしたグローバル化をさらに促進するものであることは言うまでもないでしょう。
ところで、「アジア共同体」実現のためには、私達コリアは、自己統治能力を発揮して、分断と対立を克服すること、日本は「脱亜入欧」的なアジア観を克服し、自浄能力を発揮して過去の明確な清算をすることが必要であることを、常に強調してきました。
その意味で、南北共同宣言の発表は、まさに分断と村立を克服する新たな過程の始まりであり、統一と新たな東アジア秩序構築の展望を開くものであります。
私たちは南北首脳会談に先立つ 「ワンコリアフェスティバル in 東京声明」において、7項目の要望と提案を明らかにしました。それは、南北共同宣言の内容とほとんど一致しております。とくに、統一問題の「自主的」解決を謳った南北共同宣言の第一項は、自己統治能力を証明する方向を明確に示した画期的な合意であります。
他方、日本に関しましては、今後の日本の対応、とくに朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉の行方が注目されます。日本は、明確な過去の清算を行い、アジアとの信頼関係を確固たるものにすべさであります。当フェスティバルは、ワンコリアのビジョンと「ハナ」「ワンコリア」のイメージを拡げるために15年間努力してきましたが、本年はそれが一気に拡がった年であります。
この拡がりをもとに、21世紀の祖国統一とアジア共同体の実現に向けて、当フェスティバルは今回も「ハナ」を高らかに謳い、ワンコリアを、アジアの平和と発展を国際社会に力強くアピールします。
皆さん、ともにワンコリア、ワンアジアの未来を切り開いていきましょう。
ハナ!
ワンコリアフェスティバル2000宣言
1985年の解放40周年を機に、統一への歴史の新たな展望を切り開こうと始められたワンコリアフェスティバルにとって、南北首脳会談が成功し、南北共同宣言が発表された本年は、格別に意義深い年となりました。
当フェスティバルは、会談に先立つ6月11日に「南北首脳会談歓迎!ワンコリアフェスティバルin東京」を緊急に開催、会談の成功を求める東京声明を発表しました。同声明において7項目の要望と提案を明らかにしましたが、それは、南北共同宣言の内容とほとんど一致しております。とくに、統一問題の「自主的」解決を謳った南北共同宣言の第一項は、自己統治能力を証明する方向を明確に示した画期的な合意であります。
当フェスティバルは、在日コリアンこそがまずハナ(ひとつ)となってワンコリアのシンボルになり、祖国南北、海外同胞間のパイプ役としてワンコリアの実現に貢献するとともに、究極において世界市民に連なる「アジア市民」創出のための「アジア共同体」を展望するという、まったく新しいビジョンを掲げ、その実現を目指してきました。
現在、各地で「ワンコリア」やり「ハナ」を冠する催しや行事が目白押しに展開されています。いまや「ワンコリア」は、在日コリアン同士の和解と交流、協力と統一の文字通りシンボルとなったといえるでしょう。
一方、当フェスティバルのビジョンのもう一つの柱である「アジア共同体」構想も、一段と現実的になってきました。去る11月24日〜26日、シンガポールで開かれた「ASEAN(10カ国)プラス3(韓・日・中)会議」において、金大中韓国大統領が提案した「東アジア協議体」を、今後目指すべき方向として協議することで合意したことは、記憶に新しいところであります。21世妃のはじめには、構想から現実として浮上してくる可能性が高いといえるでしょう。
そこで改めて当フェスティバルが目指す「アジア共同体」についてふれたいと思います。1989年、当フェスティバルの趣旨文において、緊張緩和と平和共存のモデルとしてEC(ヨーロッパ共同体)にはじめて言及し、翌90年に「アジア共同体」という言葉をはじめて使い、以後、当フェスティバルが目指すべき未来像として明確にしてきました。そして1993年には、アジア共同体の理念として「アジア市民」の創出という理想を掲げ、アジア共同体がたんなる経済的統合ではなく、アジアにおける市民的権利と自由の普遍的実現を目指すものであることを明記しました。
「アジア共同体」実現のためには、私達コリアは、自己統治能力を発揮して、分断と対話を克服することが必要ですが、南北共同宣言の発表は、まさに分断と対立を克服する新たな過程の始まりであり、統一と新たな東アジア秩序構築の展望を開くものであります。
私たちは、以上のワンコリアのビジョンに基づき、南北共同宣言を支持して、21世紀の祖国統一とアジア共同体の実現に向け一層努力することを、この場に集まった皆さんとともに宣言するものであります。
2000年12月10日
ワンコリアフェスティバル2000参加者一同
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