( 1991 第七回 /大阪中之島公園剣先広場 )
ワンコリア <38度線>開催をめざして
実行委員長 鄭甲寿
今年で第7回を迎えますワンコリアフェスティバルは、去る1985年の第1回開耀以来毎年回を重ねてきました。
当フェスティバルは一貫してワンコリアの実現を目指してまいりましたが、それは私達コリアの利益のみならず、アジアの平和と発展、ひいては世界への貢献を志向するものです。なにより
わが祖国の分断と対立は、アジアの火薬庫としてアジアの平和と安定を常に脅かすものです。世界の火薬庫といわれる中東で現実に湾岸戦争が勃発し、世界の平和が脅かされ、地球環境も破壊されたことは周知の通りです。こうした危険を根本的に除くためには、まず軍事的対立に終止符を打つとともに、究極的にはワンコリアを実現する以外に方法はありません。
「在日同胞は ワンコリアのシンボル」
想えば、かつてはワンコリアを理想論あるいはユートピアにすぎないといぅ人も少なくありませんでした。私達は、理想なき民族、国家がどうして世界の尊敬を得られるか、と反問しつつ、ワンコリアへの独自のヴィジョンを提言してきました。そのヴィジョンとは、在日同胞こそ先ず一つになって海外におけるワンコリアのシンボルとなるべきであるというものです。従ってそれは、ワンコリアにおける在日同胞独自の役割を積極的に担おうとするものです。
こうしたヴィジョンと発想に、幸い多くの賛同と支持が寄せられ、その輪は年々拡大し、総連系、民団系の諸団体も、ともに当フェスティバルにさまざまなご支援を寄せて下さっています。
そうした成果をふまえ、昨年ついに祖国南北の文化人による共演が祖国に先んじて実現しました。その後同年10月ピョンヤンで、続いて12月ソウルでも南北が互いに(38度線)を越えて共演する汎民族統一音楽祭が開かれ、さらに在日同胞の間でも南北の和解と団結を図る動きが顕著になってきました。今後祖国と海外で、南北の共演、協力がさらに推進されることでしょう。当フェスティバルは、今後一層その推進に寄与して行きたいと思います。
「ワンコリアのヴィジョン」
一方、第1回開催の'85年当時から今日までの国際情勢は、戦後の国際的枠組みを根本的に変えるほど大きく変化してきた時期でもありそれとともに南北を取り囲む国際情勢も著しく変化し、昨年には韓国とソ連が国交を樹立し、共和国と日本が国交正常化交渉を開始するにいたりました。さらに先日、南北が国連にともに加盟しました。
こうした世界の変化に対応して、この間南北の対話と交流も徐々に拡大され、紆余曲折を経ながらも着実に深化してきました。今回日本で開催された世界卓球選手権大会で分断後初めて南北統一チーム「コリア」による参加が実現したことはその現れでしょう。さらにこれに呼応して、民団と総通が共同の統一応援団を結成したことも画期的なことです。しかも「コリア」が全民族の期待に応えて女子団体において優勝する快挙を成し遂げたことは、ワンコリアへの希望とその力を確信させるものであります。
こうした民族の団結がもたらす希望と力に自負と信頼をもって、ますます激動の度合いを深めつつあるようにみえる世界の進む方向を冷静に見極め、先の国連加盟も統一の方向へ向うかように、全ての同胞が知恵を出し合い、より一層協力し合うべきでありましょう。
その意味で現在進行しつつある南北の経済交易も望ましいものであり、今後南北の直接交易や合弁へと進展するでありましょう。それは軍事境界線の撤廃と、平和的な安全保障体制構築の方向へと作用するでありましょう。
そうした事態をふまえ、ワンコリアのヴィジョンも世界の平和と人類の発展の方向に沿って戦後の冷戦体制がもたらした分断克服のベトナム、ドイツとは異なる新しいモデルを国際会社に示せるよう、より豊かに、より具体的に構想されるべきでしょう。
ワンコリアフェスティバルは、そうしたヴィジョンを南北、海外同胞のパイプ役を担いながら、文化を通してイメージ化し、シンボル化する場として開催されるものであり、そうした独自の方法で世論にワンコリアをアピールし、ワンコリアに向けた国際的な雰囲気の醸成に寄与しようとするものです。
今回画期的なことに本年も祖国南北から参加されるとともに、何より今回はじめて総連文芸同大阪と民団韓国青年会がともに参加されることは、ワンコリアを強くアピールするものでありましょう。
私達は、ここに改めてヴィジョンの理想にさらに近づくために、ワンコリアフェスティバルの、<38度戦>上における開催実現を目指すことを宣言するものであります。
皆さん、ワンコリアのため、ワンコリアのシンボルにふさわしい民族の一大祭典をともに創りましょう。
ともにワンコリアの未来を切り開いていきましょう。
ハナ!
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