( 1987 第三回 /大阪城野外音楽堂)
8・15 民族・未来・創造フェスティバル開催に関して
私達はONE・KOREAへのヴィジョンを提言します。
「8・15」フェスティバルは、ONE・KOREAのためにすべての同胞が同じ一つの民族として握手できる日を夢見て持たれるものであります。
ONE・KOREAを理想論だとか、ユートピアだとかいう人もいます。しかし、理想無き民族・国家がどうして世界の尊敬を得られるでしょうか。たとえばアメリカは、誰でも努力すれば成功する自由の国という理想を掲げて、たとえそれがユートピアでも世界中からあらゆる民族を引き寄せ、そのバイタリティーとパワーによってわずか200年で世界一の大国となりました。それに較べて日本は、今や世界一の貿易黒字国の金持ちとなりましたが、世界中から非難されています。というのも自分の国のこと、金儲けのことしか考えず、世界に何の理想も示し得ないからではないでしょうか。
とはいえ御存知のように、日本は単一の大和民族、和をもって貴しとする民族、すなわち自分達は一億が和している民族だと思っている国です。そして確かにそう思って一丸となりえたことが、日本の活力源となり、今日の繁栄をみていることもまた否定しえないでしょう。その日本の中で、その目の前でわずか70万のわが同胞が二つに分かれて非難し合っているのです。どうして日本人が私達を尊敬するでしょうか。自分達同志憎み合って、どうして日本の民族差別をなくせるでしょうか。
ところで、海外に住む私達にとって、海外同胞の生き方を考える上で、ユダヤの人々のあり方が参考になると考えます。人類史上、国を失って亡びた民族は数え切れません。しかしユダヤ人は、2000年亡周の民として世界中に散らばったにもかかわらず、決して亡びませんでした。それどころかあらゆる分野で人類に貢献し、ついには世界一の経済力を握るに至りました。思うに、ユタヤ教という確固たる一つのシンボルを共有し、いつか祖国の地に帰り、国家を建設するというユートピアこそが、彼らのパワーの源になったのではかにのでしょうか。とはいえ、そのユートピアが、自民族だけを考える利己的なものであるために、その地に平和をもたらさず、新たな紛争をもたらしていることを大きな教訓として考えざるを得ません。
またユダヤ人は、事業収入の10%を民族全体の利益のために、民族に還元していると聞きます。現在、在日同胞の資産が20兆円を上回ることを思えば、これを、在日同胞の全てが握手をし、全民族の発展のために活用するならば、在日同胞も十分祖国に影響を与えることができるのです。在日同胞が困難な中で苦労して蓄えた資産を、同族が殺し合うかもしれないような軍事費に使わせることができるでしょうか。あらゆる立場を越えて握手さえできれば、在日同胞は、祖国における南北対話と交流を促進する実に大きな具体的な力となり得るのであります。
しかも私達のONE・KOREAの理想は、わが民族だけを考える狭いものではありません。アジアの、ひいては世界の平和と人類の幸福に貢献するすばらしい理想であります。さらにイデオロギーの対立を越えた新しい社会を創造するONE・KOREAは、世界に新しい理想を示すでありましょう。その理想の実現のためには、まず在日同胞、そして全ての海外の同胞がONE・KOREAで一致し、同じ民族として握手し合うべきであります。そうすれば、それは必ずわが祖国にも大きな影響を与えることでありましょう。いまや、海外にある私達こそ、祖国に民族としてあるべき模範を示すよう努力すべきであります。そうしてこそ、祖国の同胞も私達を尊敬するのであります。
私達はこうしたヴィジョンにもとづいて、いつまでかかろうと、いつかONE・KOREAは必ず実現すると確信いたしております。そして、このヴィジョンと確信こそが、個々の才能やハングリー精神だけでは到底成し得ない在日同胞の輝かしい飛躍を可能にするのでありましょう。すなわち在日同胞は国際社会、人類に貢献し、あらゆる事業もどんどん発展することでありましょう。
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