2002年 秋 日韓同時上映
日韓合作映画『夜を賭けて』に賭ける想い

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 音楽監督: 朴 保

朴保パクポウ/1955年生まれ。79年に広瀬友剛(ひろせ・ゆうごう)の名でメジャーデビュー。80年、韓国を訪れて自らのルーツに目覚め、朴保に改名。盟友バンドの切狂言を従えて活躍。パンソリなどの韓国民謡とソウル、レゲエ、ロックを混在させたパワフルな音を身上とする。83年に単身渡米。サンフランシスコで音楽活動。92年に帰国後は、元RCサクセションの春日博文、アナーキーの寺岡信芳らと東京ビビンパクラブを結成するとともに、朴保&切狂言を再開した。97年「朴保バンド」結成。平和や愛を力強く歌い続けるメッセンジャーである。この数年はワンコリアフェスティバルのトリを務めている。



 ここは音楽で、ガツンと決めないと 


 最初に金守珍から『夜を賭けて』の音楽をやってほしいと言われたときは、本当に嬉しかった。僕らのさまざまな出会いのなかで、成るようにして成ったという気がするし、今となっては、「この映画の音楽をやるのは僕しかいない」と思っている。

 金守珍からは、この映画のテーマ曲を作ってほしいという注文があった。義夫と初子の、愛の歌だ。僕の歌は、社会的にとらえられることが多いけれど、自分が作る歌はすべてラブソングだと思っている。でも、ある特定の男女を描いた歌となると、今までそういう曲の作り方をしたことがないし、けっこう難しい。

 始めは自分でも、どうなることやら、少し不安だった。梁さんの原作を読み返したり、韓国のリズムを取り入れて3拍子のスローな曲にしてみようかなどと、あれこれ試行錯誤してみた。物語から離れてしまうとおかしいし、かといって、はまりすぎても説明的だ。そんなとき金守珍が、「この曲を聴いたら映画を思い出すような、そんなラブソングを作ってよ」と言った。そうか、難しく考えることはない。とにかく美しいラブンソングを書こう。電車のなかで、ふっとメロディーが浮かび、家に帰ってピアノに向かう。今までギターで作曲することが多かったけれど、この歌は、ピアノで作曲した。そうして生まれたのが、テーマ曲「いつの日にかきっと」だ。映画には、そのほか、僕が今まで歌ってきた「鯨狩り」「峠」「ケンチャナヨ」「風まかせ」なども、アレンジを新しくして使う予定だ。

 9月には撮影現場に行って、セットや撮影風景を見てきたが、とにかく素晴らしい映画ができつつあると実感した。たぶんこの映画は、歴史的な映画になるだろうし、アジアを代表する作品になるはずだ。ここはひとつ音楽で、ガツンと決めないと……。僕にしては珍しく、今、プレッシャーを感じているところだ。


※『夜を賭けて』は、サッカーW杯の開催年・2002年の秋に日韓同時上映する。

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