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2000.6 /東京:スペースY文化センター )

「南北首脳会談歓迎!
  ワンコリアフェスティバルin東京」声明

  私たちは、明日から開かれる歴史的な南北首脳会談を歓迎するとともに、深い関心と注目を持ってその成功を願っていることを表明すべく、この場に集いました。
  ワンコリアフェスティバルは、1985年の「解放40周年」を契機に始まり、今年で第16回目を迎えますが、2000年代最初のワンコリアフェスティバルを南北首脳会談の緊急アピールをもって開催できることは大きな慶びであります。
  当フェスティバルは、在日同胞こそがまずひとつになってワンコリアのシンボルになり、祖国南北、海外同胞間のパイプ役としてワンコリアの実現に頁献するとともに、究極において世界市民に連なる「アジア市民」創出のための「アジア共同体」を展望するという、まったく新しいビジョンを掲げ、その実現を目指しています。
  そのため、当フェスティバルは、祖国南北の共演、総連系・民団系の共演など、さまざまな南北共演の実現に努めてまいりました。90年代に入って、当フェスティバルの他にも、「ワンコリア」を冠して、「ワンコリア囲碁大会」や「ワンコリア花見大会」というように、総連・民団合同の行事も持たれるようになり、在日コリアン同士の和解と交流の動き乞活発になっています。こうした動きは首脳会談後にさらに活発になるでしょう。
  また、当フェスティバルは、「ニューヨーク・ワンコリアフェスティバル」開催や同年から始まった「韓国議政府市・ワンコリアフェスティバル」との交流など、海外・祖国同胞との連携と交流も深めてきました。グローバル化の進む国際社会において文字通りグローバルな存在である550万人以上の豊かな多様性を持つ海外同胞の役割は、今後益々重要になるでしょう。今や統一とは、海外同胞を含む「多文化民族共同体」の形成を孕むものといえるでしょう。
  一方、「アジア共同体」とは、まず第一に、アジアにおける平和の構築であり、より具体的には経済的統合とともに、各民族文化の相互尊重と交流、域内の経済格差の縮小から解消、環境問題や安全保障における協調、そしてなにより自由や人権、民主主義などの市民的権利のアジアにおける普遍的実現、すなわち「アジア市民」の創出を意味するものであります。

  さて、当フェスティバルは、南北間において対話や交流の動きがある度に歓迎と支持を表明し続けてきました。1984年の韓国の水害に対する共和国の物資援助とその後の対話気運の盛り上がり、1985年の離散家族相互訪問と芸術団相互公演の実現、1989年の韓国実業家の共和国訪問、1991年の世界卓球選手権大会(日本・千葉)における初の南北統一チーム『コリア』の参加と、総連・民団共同応援の実現、さらに同年末の南北の「不可侵と交流・協力合着書」と「非核化共同宣言」の発表、1994年の故金日成主席と金泳三前大統領との南北首脳会談開催発表、1999年の現代グループによる金剛山観光の実現、そしてついに、韓国金大中大統領と金正日朝鮮労働党総書記との南北首脳会談の開催に至りました。南北関係は幾多の緊張激化と中断を繰り返しながらも着実に進展してきました。それがこの度の南北首脳会談の開催へとつながったといえるでしょう。
  私たちは、この歴史上初の南北首脳会談の開備に対して、ここにあらためて歓迎の意を表するものであります。と同時に、私たちは、同会談に至る最近の激変する国際情勢への南北それぞれの対応に注目を促したいと考えます。
  周知のように、南北分断をもたらした戦後冷戦体制は、祖国南北を除いては終焉し、EU(ヨーロッパ連合)をはじめ、EAEC(東アジア経済協議体)など地域統合の流れと経済のグローバル化が急速に進んでいます。私たちは早くからこの流れに注目し、統一のビジョンにおいても重要な要素として注目してきましたが、この度の会談の開催もこの流れを理解してこそその意義がより明確になるものと考えます。
  韓国は、金大中大統領就任以来「IMF危機」を乗り越えながら、韓国の「世界化」を唱え、グローバル化への対応を押し進めるとともに、共和国に対しては一貫していわゆる「包容政策」を押し進め、官・民による食料支援や現代グループによる金剛山観光の実現など大きな成果を収めてきました。
  共和国も朝・米交渉、朝・日国交正常化交渉の再開、イタリア、オーストラリアとの国交樹立など、国際社会の変化に対応するいわば「脱冷戦・全方位外交」を展開しています。特に当フェスティバルの1996年度の趣旨文においても指摘しましたように、私たちは共和国がすでにその頃から、かつて敵対していたASEAN(東南アジア諸国連合)を評価していることに注目を喚起してきましたが、ASEANに韓国・日本・中国を加えた「ASEAN地域フォーラム」(ARF)に共和国の加盟が決まり、今年の7月にミャンマーで開催される同フォーラムに参加します。共和国もまたグローバル化と地域統合への対応を進めようとしているといえるでしょう。
  以上のような南北の姿勢と対応を見るなら、同会談が成功する可能性は非常に高いと思われます。たしかに南北対話は、中断と挫折を繰り返してきましたが、今度こそその繰り返しに終止符を打つ成果を挙げなければなりません。両首脳も、全ての同胞と全世界が注目する中で、もはや失敗は許されないと深く認識しているものと信じます。

  私たちは、同会談の成功に向けて、単に支持し、見守るだけでなく、各界各層において歓迎、支持の声を高め、民族の叡智を集め、提言、要望などより積極的に関与していくべきであると考え、ここに次の要望および提言を表明するものであります。

 1・私たちは、南北両首脳がいかなる前提条件もなしに、民族の統一と繁栄に関して虚心坦懐に語り合い、信頼関係を築き、今後とも首脳会談が継続することを望むものであります。

 1・私たちは、南北両首脳が1972年の「7・4南北共同声明」において合意した「自主・平和・民族大団結」の統一のための三大原則にもとづき、着実かつ現実的な統一への展望を開かれることを望むものであります。

 1・私たちは、南北両首脳が1991年の「不可侵と交流・協力合意書」において合意した実践項目を尊重し、特に南北間の交流と協力を積極的に推進することを望むものであります。

 1・私たちは、南北両首脳が、分断により南北・海外に離散した家族の再会をすみやかに実現できるよう具体的な措置を講ずることを望むものであります。

 1・私たちは、南北両首脳が海外同胞の地位と権利に留意し、その向上のために各地域の実状にあった具体的で実効性のある海外同胞政策を実現するよう望むものであります。

 1・私たちは、南北両首脳が「2002年ワールドカップ韓日共催」において、南北統一チームによる出場が実現するよう、積極的に努めることを望むものであります。

 1・最後に、私たちは、南北両首脳に対してピョンヤンとソウルをつなぐ軍事境界線付近において、環境問題の解決と人類の融和につながる東アジアにおける共同体を目指すことをテーマとする万国博覧会を共同で開催し、その跡地を自然公園とすることを提案いたします。

 2000年6月11日
「南北首脳会談歓迎!ワンコリアフェスティバルin東京」参加者一同


 
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