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1988 第四回 /大阪城野外音楽堂 )

オールコリアンとの共同の創造を願って
 パリロフェスティバル実行委員会委員長 鄭甲寿

  8・15民族・未来・創造フェスティバルは、在日同胞をはしめ、多くの方々の御理解と御支援のお陰で、今年4回目を迎えることができました。ここに改めて皆様に心からの感謝を申し上げます。
  想えば、わが民族の解放40周年を機に、統一への歴史の新たな展望を、斬新な発想と積極的な未来創造の姿勢で切り開こうと呼びかけて以来4年、ようやく同胞社会にも8・15フェスティバルが広く知られるようになった感があります。
  ここに、私達の発想と目指す方向を今一度明らかにし、皆さんのより一層の御理解を仰ぎたいと思います。

  歴史を振り返ってみるとき、そこに現在の警鐘、未来への指針がどれほどあることでしょう。未来を担うべき若者が過去を知ろうとする時、先人の苦難と努力に敬意を表し、引き継ぐべきは当然であります。と同時に、二度と繰り返してはならない教訓をも引き出すべきでしょう。
  かつて、国難に際しても民族が分裂したが故に、どれほど多くの困難と犠牲をわが民族にもたらしたことでしょう。植民地に転落し、いままた分断を余儀なくされているのも、わが民族が様々に分裂しているが故ではないでしょうか。
  もはや私達は、あらゆる立場や意見の違いを超えて、一つにならねばなりません。とくに海外にいる私達こそ、全ての同胞が握手し、私達の一つになろうとする意志がいかに強烈かを、国際社会にはっきりと示すべきです。そのためには、これまでにない新しい発想と方法が求められています。
  何よ私達は全ての同胞が現実に一堂に会する場を創りたいと心から願い、一つぐらいはそうした場がなくてはならないと考えました。そのため批判せず、代弁せずを原則にし、それを貫いてきました。
  いま、幸い8・15フェスティバルには、あらゆる立場の個人・団体・企業・メディア等が、様々な形で御支援、御協力をお寄せ下さっています。この成果を大切にし、さらに大きく広げ、海外にも同胞のネットワークを拡大したいと思っています。

  昨年、「私達はワンコリアへのヴィジョンを提言します」において明らかにしましたように、私達は、海外同胞も祖国の統一に大きく寄与できるばかりでなく、むしろ相互にバックグランドの関係たりえると考えています。  海外同胞の中でも在日同胞は、その置かれた条件と位置から、逆にユニークな役割を果たしえるのではないでしょうか。
  在日同胞は、他の海外同胞とは異なり、祖国の南北対立をもっとも直接的に反映しています。しかし祖国のように物理的な38度線は存在しません。在日同胞こそ、全ての同胞が握手し、一堂に会するならば、それはまさに民族和解、統一へのシンボルとなります。そうしてこそ、海外同胞、祖国の同胞全てが、在日同胞を尊敬し、信頼するのであります。また、日本社会の私達に対する見方も決定的に変えることができるのであります。
  私達在日同胞は、統一への歴史において、このような積極的で能動的な役割を果してこそ、統一後の祖国建設においても、私達の条件を活かした独自の強力な寄与ををしえるのであります。
  私達は、在日同胞のあらゆる可能性、わけても若き二世三世達の無限の可能性を信じています。先のようなシンボルのもとに、肯定的、積極的なアイデンティティを共有するなら、わが二世三世の中から、世界にはばたく人材が輩出するでありましょう。すでに、日本社会の困難な条件の中でも、自ら道を切り開き、各分野の第一線で活躍している在日同胞二世がいます。私達がそうした方々に、御賛同をお願いし、出演や作品提供、またメッセージなどを寄せて頂くのも、彼らが単に有名人だからではなく、彼らの姿こそ、若き二世三世に多くの励ましと触発をストレートに与えてくれるからです。彼らのあとに、続々と後輩達が続くなら、日本社会における私達の地位もおのずと高まるでありましょう。
  一方、今日在日同胞は、多様な価値観と個性を持ち、様々な生き方を模索しているといえるでしょう。8・15フェスティバルは、そうした多様な個性を、ワンコリアという大きな方向の中で最大限尊重したいと思います。それがコリアン全体のオリジナリティの発展につながると同時に、結局は国際社会においてもコリアヘの評価を決定的に高めることになるからであります。
  8・15フェスティバルは、民族和解のため、統一のために、ワンコリアのシンボルのもとに、あらゆる同胞の立場や意見、価値観や個性を尊重し、全ての同胞間のパイプ役となり、一層同胞間のネットワークを広げ、コミュニケーションを深めることに努めたいと考えています。
  私達は、ワンコリアのシンボルにふさわしい、よりスケールの大きな、よりパワフルな、より大胆な、全同胞が支援を惜しまない、海外同胞の祝祭、一大イベントの創造を目指しています。
  以上は、この4年間を振り返り、発想や方法を私達なりにまとめてみた、現時点での一つの報告であ巧ますが、今後さらに考えを深め、ヴィジョンを豊かにするために、より多くの皆さんの提言、アイデア、御意見を期待致しております。
  8・15フェスティバルは、皆さんとともに考え、民族の叡智を集め、輝かしい未来のために豊かなヴィジョンを創造する場でありたいと考えています。
  どうか、皆さんとの共同の創造をもって、同胞社会、国際社会に、わが民族の明確な未来のヴィジョンを示せるよう、各界各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  ハナ!

 
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