先日、総理府が日本の外国人登録者の数を発表した。それによると、90日以上日本に滞在して、外国人登録をしている人の数は128万人で、日本の人口の1パーセントを越えたという。
この数字を見て、だからどうなんだという気持ちが少しした。総理府にしろマスコミにしろ、この数字を発表した背後に、いまや日本はこのように国際化しているんですよと言いたがっているようなものを感じるからだ。
しかし、増えているのは、中国、ブラジル、フィリピン、ペルーなどで、このほか、外国人登録していないイラン人、タイ人などもいる。そして、その半数以上を占める68万人という韓国籍・朝鮮籍の人の数はほとんど変わっていない。
ある意味で、普遍的存在とも言える68万人を対象にした時には、国際化をやかましく言わず他の国の外国人が増えたら国際化というのに首をかしげてしまう。
それじゃ、日本に住んでいる韓国・朝鮮の人たちに対して、日本人は正常な国際感覚で接してきたかということである。
特にそのうちの20万人以上がいる大阪に住んでいて、そう思うのだ。
在日と言われる韓国・朝鮮の人たちは、日本という国の中で日常的差別に囲まれて生きている。高校生の通う学校が一条校に該当しないから学生割り引きはできないとか、スポーツの大会に出られないとか、そんな部分的差別が、公務員になれないとか、選挙権などもってのほかという全体的な差別につながっている。
その68万人をほっておいて、新しく増えてくる外国人に向かって、国際化をうんぬんするなんて、およそインチキなんだ。
本当の意味での国際化は、大阪でこそはじまらなければならない韓国・朝鮮の人たちとの中で、普遍化しなければならない。
それはどういうことなのか。もっともっと混じり合って生きることである。同じ都市の中でも、アメリカの街の中にできるリトル・トーキョーなどは、えせ国際化の象徴だ。
ところで、ワン・コリアという言葉には、いい響がある。英語を使うなんてケシカランなどとは言わないで、肩肘張らないで、在日の韓国・朝鮮の人たちが、率先してハナ(一つの)コリアになってほしい。
私が思うのは、韓国・朝鮮の人たちがハナになるには、日本で、特に大阪で、実現しやすいのではないか。それは、二つのものが一つになるのではなく、三つのものが一つになるという考え方からである。
この夏、大阪・通天閣で「平和のための戦争展」が開かれた。安重根義士記念館の金裕赫館長の話を聴いた。過去の朝鮮半島への圧政の重さを改めて思った。生野区在住の李順子さんの歌「キーン・アリラン」を聴いて朝群半島に生きてきた人たちの心に、改めて触れた。そんな日本人の一人である私の中に韓国と北朝鮮との区別はない。
韓国・朝鮮の人たちよ、ワンコリアの声の下で、大阪を舞台にして、ハナとなろうよ。国際化の華に。
(1993)
黒田清 (くろだ・きよし)
1931年大阪生まれ。
52年読売新聞大阪本社に入社。
76年より社会部長となり
「黒田軍団」の勇名を轟かせる。
87年「黒田ジャーナル」を興し、差別と戦争反対を軸に「窓友新聞」を発行。
電波・活字・講演と精力的に活躍。昨年(2000年)7月多くの方に惜しまれて逝去されました。
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